*:*影*:*

「ねえ 笑ってよ もう一度」
これだけが 私の
たった一つの願いなのに


君の笑顔が好きだった
鮮やかな その笑顔が
「黒一色」でしかない 私にとって
どれだけの 幸せだったのか

あの日を堺に
笑うことを 忘れてしまった君を
救いたいと 思えば思うほど
「影」でしかないという事実が
容赦なく邪魔をする


今はもう思い出せない
暖かな その微笑が
「何かの影」でしかない 私にとって
どれだけの 安らぎだったのか

もうすぐ冬が来る
日の沈みかけた 夕闇の中を
次第に薄れていく 君の影となって
私は 凍え切った君の心に
音もなく 入り込んだ


…いつか見た あの日の君を もう一度捜し出すために…


私は影
眩しい光なしには 生まれることはなく
その光の中では 存在することが出来ない

私は影
「黒」という服を 全身に纏いながらも
同じ色を支配する 闇の中には
存在し続けることは 叶わない



君の心に 囚われたまま
あの日の君を 見つけることも出来ず
徐々に 黒が広がっていった君の心へ
私は 溶けていった



「ねえ 笑ってよ もう一度」
これだけが 私の
たった一つの願いだったのに

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